水戸地方裁判所 昭和45年(ワ)342号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕本件事故現場は幅員8.5メートルの国道一二四号線とT字型に交差する幅員二メートルの砂利道との交差点上であり、事故当時車両の渋滞が激しく、延々数十台が連つていたことは当事者間に争いがない。
<証拠略>を総合すれば、亡哲也は右砂利道より出て右国道を横断しようとしたのであるが、その際、停止していた被告車が同人が横断するまで依然停止を続けてくれるものと考え、その直前を通過しようとしたこと、横断しようとした国道には横断歩道の設置なくまた信号機の表示する信号もしくは警察官の手信号等もなされていなかつたことが認められる。およそ歩行者としては特段の事情の存しない限り車両等の直前で道路を横断してはならないところ、本件においては前記の如く特段の事情が存するものとは認め難いから、亡哲也はその横断方法に過失があり、前記各証拠によれば、被告車との間に十分距離をおいて横断したならば、本件事故の発生を防止し得たことは十分に認め得られるところであり、その過失割合は亡哲也につき二、被告車の運転者たる早苗につき八と定めるのが相当である。<中略>
被告は亡哲也が収入を得るに至るまでの間の養育費を原告等の右相続分から控除すべきであると主張するので考えるに、この点については控除説、非控除説が対立していることは周知であるので、詳論を避けるが、当裁判所としては主として不法行為法における衡平の観点より控除説に賛意を表するものである。
そして、<証拠略>によれば、亡哲也の養育育費は成人までの年月を平均して、一ケ月金一万円を下らないものと認めるのが相当である。そうすると年額一二万円となり、右金額を基礎にして、原告等が亡哲也が二〇才に達するまでに支出したであろう総額の現価をホフマン式計算法(複式)で年五分の割合による中間利息を控除して算出すると金一一〇万五、八一二円となる。 (太田昭雄)